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喫煙所に防災機能? 地域の課題を解決する「防災喫煙所 イツモモシモステーション」とは


喫煙所×防災で広がる喫煙所の可能性⁉

仕事でキャパオーバーになりがちな私。頭も気持ちもいっぱいいっぱいになりそうなときは、外の風にあたって気分転換をするんです。たばこを吸う人だったら、喫煙所で一服して気分転換することもありますよね。

喫煙所といえば、一昔前はその名の通り、たばこを吸うための場所というイメージでしたが、最近ではたばこを吸うことだけではない役割や機能を持つ喫煙所もあるんですよ。

それが喫煙所に防災機能を付加した「防災喫煙所 イツモモシモステーション」です!

より地域に貢献できる喫煙所へ

「防災喫煙所 イツモモシモステーション」は、JTが特定非営利活動法人プラス・アーツと一緒に取り組んでいる地域貢献プロジェクトです。

喫煙所にはもともと、吸う人と吸わない人の距離を保ったり、街の環境美化を助けたりする役割があります。街から路上喫煙やポイ捨てをなくすために喫煙所はあったほうがいいし、せっかく喫煙所をつくるならより地域に貢献できたほうがいいですもんね。

喫煙所×防災というユニークなアイデアがどうやって生まれたのか、JTの社会環境推進室へ取材に行ってきました。

イツモ、モシモを考える場所に

「防災喫煙所 イツモモシモステーション」プロジェクトリーダーの田中洋平(たなか ようへい)さんに、お話を聞きました。

ゆみ: どうして喫煙所×防災なんですか。

田中さん: 私たちJTは以前から、たばこを吸わない人にも配慮した喫煙環境の整備を各地で行ってきました。さらには、そうした取り組みを発展させ、喫煙所を使ってもっと地域課題の解決に貢献できることはないか議論していたんです。

ゆみ: ということは、喫煙所と防災の組み合わせじゃなくてもよかったんですか?

田中さん: そうかもしれないです(笑)。ただ、いろいろな自治体にヒアリングすると、観光客誘致や文化振興など課題はさまざまでしたが、全国的に共通して挙がったのが防災だったんです。それで喫煙所に防災の機能を付加したら、より地域課題の解決に役立つのではないかと。

ゆみ: そのような経緯から喫煙所と防災を組み合わせようとしたんですね。

田中さん: 喫煙所は駅前や公園といった街の拠点にありますし、公園は避難場所に指定されているケースもあります。街の拠点にある喫煙所は、防災と相性がいいんですよ。たばこを吸う人は喫煙所に5〜6分くらい滞在しますし、利用者としては30〜60代の男性が多い。各家庭の世帯主や会社で役職についている人も多いので、そういった人が防災の知識を持っていると情報も波及しやすいですから。

ゆみ: 実際にはどんな機能があるんですか?

田中さん: まずは壁面での防災啓発ですね。駅前の喫煙所なら帰宅困難者向けの情報とか、自治体が運営している防災ホームページや防災メールの二次元バーコード、避難場所の案内地図などを壁面に貼っています。これらは、喫煙所を設置する地域のニーズに合わせて掲出する情報を変えています。他にはソーラー発電の充電機能や防災備蓄ストッカーなど、設置している自治体や地域のニーズであったり、喫煙所ごとに付加する防災機能を組み替えています。いずれにしろ、防災喫煙所としてどのようなしつらえにするかにあたっては、全国各地で防災プロジェクトを展開している特定非営利活動法人プラス・アーツに多大なご協力をいただいています。

ゆみ: 「イツモモシモステーション」という名前もユニークですね。

田中さん: 防災の世界では「イツモ」と「モシモ」は、よく出てくるワードなんです。「いつも」から、「もしも」に備える。そうすることで、災害時にも適切な行動が取れるようになりますから。防災喫煙所は「『いつも』は寄る場所、『もしも』の時は頼る場所」がコンセプトなので、みんなの「イツモ」と「モシモ」をサポートできる場所になれたらいいなと思っています。実際、地域の皆様からポジティブな反応もいただいており、一定の評価をいただけているのかなと思います。

「そういえば……」と思い出せることの大切さ

実は駅前や公園など、見つけやすい場所にある喫煙所。吸わない人でも「そういえば、あそこにあったな」と思い出せるから、防災に役立つんですよね。

「あそこの喫煙所に防災情報があったな」「防災に関するサイトの二次元バーコードが貼ってあったよな」。こうしたことを知っているだけで、普段の意識が少し変わったり、何かのときに落ち着いて適切な行動ができたりするんじゃないかな?

平常時の「イツモ」の時も、災害時の「モシモ」の時も、みんなの心の拠りどころになってくれそうな防災喫煙所。心の豊かさって、いざというときに思い出す心の拠りどころを持つことなのかもしれませんね。

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担当社員のひとことプロフィール

※プロフィール掲載内容は2023年12月の取材当時のものです

田中洋平さん。JT 社会環境推進室。最近、心の豊かさを感じた瞬間は、2人の子どもの寝顔を見たとき。同じ姿勢で並んで寝ていて「兄弟だなあ」と、ほっこりしたそう。

この記事を書いた人

ゆみ(こころノート編集部)
バイタリティあふれる若手社員。流行に敏感で、人の話を聞くことが好き。また、前時代的な慣習や価値観には疑問を持つ一面も。好奇心旺盛でたくさんの情報をキャッチするので、仕事でよくキャパオーバーになり、先輩ふたりに助けてもらっている。