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森を守れば町が元気に!? 「JTの森 積丹」の挑戦とは?


家族が暮らしやすい環境って何?

子どもの頃、親に連れられて海や山でよく遊んだ思い出があります。でも自分が親の立場になった今は、子どもを近所の公園に連れていくのが精一杯。また、都市再開発などの影響なのか、近場から自然がどんどん減っている気がしていて、「もしかしたら、子どもには暮らしづらい環境なのでは?」と感じることもあります。

さらにもう少し広い視点で「家族にとって暮らしやすい環境って何かな?」ということに目を向けると、町そのものが元気かどうかも気になります。駅近くの商店街や、よく行く近所のお店などが閉店してしまうと何かと不便。住んでいる地域の経済が回ることも必要だなぁと思っています。

子どもはもちろん、私たち大人も含めた心の豊かさを考えると、自然と触れ合うことができ、地域も活性化していることが大事なんじゃないかしら。

そんなことを考えながら取材のネタを探していたところ、興味深い事例を見つけたので、ご紹介します!

森を守り、地域振興にも挑戦する「JTの森 積丹」

皆さんは「JTの森」ってご存じですか?

たばこ事業や加工食品事業を展開するJTグループの商品には、葉たばこや野菜など植物を中心とした自然由来の原材料が使われています。そのため、事業を支えてくれている自然の恵みに感謝し、自然環境を大切にしたいという想いから、全国9か所で森林の保全活動をしています。

今回ご紹介する「JTの森 積丹(しゃこたん)」は、北海道・積丹半島の最先端にある森林の保全活動を行っています。さらに特徴的なのは「地域振興」にも挑戦している点。これは全国の「JTの森」でも初の試みなんです。保全活動から地域振興へ。そこにはドラマがありそうだと思い、詳しい話を聞いてきました。

間伐材がクラフトジンの化粧箱に! 企業と企業がつながる森

「JTの森 積丹」を担当する、須賀久世(すが ひさよ)さんと、下山晏明(しもやま あみ)さん、そして全国の「JTの森」を担当する、宮村香也子(みやむら かやこ)さんにお話を聞きました。

ともこ: 「JTの森 積丹」を始めたきっかけと、活動内容を教えてください。

須賀さん: JTは北海道でも森林保全活動を行いたいと考え候補地を探していたのですが、町長様をはじめ町民の皆さまが、森だけでなく川や海の生態系も守りたいという想いを持っていたことから積丹町での実施を決めました。

下山さん: 活動内容は、「森林保全の支援」、「森づくりの日」と「森林利活用による地域振興」の3つです。「森林保全の支援」として、積丹では木を適正に間引いたり(間伐)、植栽をしたり、苗木の育成を邪魔する雑草の刈り取りなどを行っています。

宮村さん: 「森づくりの日」は、森林そのものの大切さを体感してもらう目的のもと、地域住民の皆さまにご協力いただいて開催しているJTグループ従業員参画型のボランティアイベントです。

ともこ: 地域ならではの特色があって面白そうですね! 活動を続けていく中、どんなかたちで「JTの森 積丹」では地域振興が始まったのですか?

須賀さん: 「JTの森 積丹」第一期(※1)の活動を終え、来期に向けた活動をどうするか積丹町と話し合う中で、森づくりを通して町に観光やビジネスで来る「関係人口」を増やすような試みを始めることになった、と前任者から伺っています。第二期(※2)における協定のいち事業として「森林利活用による地域振興」を新設し、その中で森林アクティビティ、間伐材活用、ボタニカル採取、地域環境学習提供などの取り組みを実施することとなりました。

※1 第一期:2010年12月~2020年11月  
※2 第二期:2021年4月~2026年3月

宮村さん: 例えば「森づくりの日」では、これまでJTグループの従業員やその家族、また積丹町民だった参加対象者を社外の企業の方々などへと広げ、さらに積丹町を知って来ていただくきっかけづくりとして活動を始めました。

須賀さん: 間伐材の活用では、積丹半島の素材を生かしてお酒を造っている「株式会社 積丹スピリット」と協業しました。クラフトジン「UMI(うみ)」という商品の発売にあたり、「JTの森 積丹」から出た間伐材を活用いただいた特製の化粧箱入りのものも数量限定で作られました。

下山さん: おかげさまで、数量限定で販売した化粧箱入りのクラフトジンはすぐに完売しました。決して安くはなかったのですが、多くの人に購入いただいたそうで、驚きました。次なる協業のステップとしては、ジンの原料となる植物も積丹の森から収穫できるようにしていきたいです。

ともこ: 「JTの森」の木が地元企業の商品に使われているなんて、すごく素敵ですね! ちなみに、他にも「JTの森 積丹」の活動をきっかけに企業とつながった例はあるんですか?

須賀さん: 地元企業を「森づくりの日」にご招待したとき、「地域貢献をしたいが、何から着手していいか悩んでいる」というお話を伺いました。そこで、森林所有者と企業等の橋渡しを行っている北海道庁の制度をご紹介したところ、森林保全の取り組みを始めるに至ったそうです。

宮村さん: 岐阜県の「JTの森 中津川」でも、社有林を持つ企業さんが見学に来るなど、「JTの森」の取り組みを学びの場として活用いただいているケースがあります。

下山さん: 北海道でも「JTの森」を参考にしたいという企業は結構いらっしゃるので、取り組み方や運営の仕方などをお伝えしたり、「森林エリアでどんなことができるのか」というご相談をいただくこともありますね。

ともこ: さまざまな輪が広がり始めているんですね! お話を伺っていてなんだか温かい気持ちになってきました。それでは、今後の展望をお聞かせください!

須賀さん: 「積丹では、こんな楽しいことができるんだ!」という感動を味わっていただくため、新しい取り組みにチャレンジしていきたいと考えています。全国の「JTの森」とも互いに刺激を受けながら活動していきたいですね。

下山さん: 活動を通して多くの企業さんとも連携して、積丹町の地域活性化に貢献していきたいです。「JTの森 積丹」を人と人がつながる場所にしていきたいと思っています!

宮村さん: 「JTの森 積丹」での取り組みをきっかけに、全国各地の「JTの森」においても、社外の企業や大学など、より広い地域の皆さまにお声がけするといった交流の輪が広がっています。これからも活動を通して森林保全に貢献しながら、地域の盛り上げやつながりづくりにも関わることができると嬉しいです!

自然を大切にし、地域振興にも取り組むことで、心の豊かさを育む

地域の方々と森林の中で触れ合うこと。森から生まれたジンを飲むこと。かたちは違えど、自然に触れたひとときは素敵な思い出となり、「あの自然を大切にしていきたい」という気持ちに変わってくれるはず。また、地域振興にも取り組むことで、町が活性化して暮らしやすい環境づくりに貢献する。
「JTの森 積丹」が始めたこうした取り組みは、これからもっと多くの人たちに伝わり、たくさんの心の豊かさを育んでいくのでは、と感じました。

関連リンク
全国に広がる「JTの森」JTの森 積丹(北海道)

担当社員のひとことプロフィール

※プロフィール掲載内容は2024年1月の取材当時のものです

左)須賀久世さん。JT北海道支社 戦略・渉外チーム 。「JTの森 積丹」を担当。最近、心の豊かさを感じた瞬間は、誰もいない深夜に真っ白な雪景色を見て「キレイだなぁ」と思ったとき。
(中央)下山晏明さん。JT北海道支社 総合営業チーム。「JTの森 積丹」を担当。最近、心の豊かさを感じた瞬間は、実家の名古屋から北海道に戻り、雪景色を見て「私は素敵なところに住んでいるんだなぁ」と改めて思ったとき。
(右)宮村香也子さん。JT 渉外部 コミュニティインベストメントチーム。全国の「JTの森」を担当。最近、心の豊かさを感じた瞬間は、残業があった日にチームのメンバーが一緒に付き合ってくれて、「温かいメンバーに恵まれて働いているなぁ」と思ったとき。

この記事を書いた人

ともこ(こころノート編集部)
仕事と育児を両立させながら、こころノート編集部リーダーとしてスタッフをけん引。元新聞記者の経験を生かし、ビジネスから暮らしまで幅広いジャンルをカバー。中でも衣食住など、生活にまつわるテーマの取材に力を入れている。猫好き。