宇宙飛行士の歯磨き事情が生んだ製品!? いつでもどこでもオーラルケアできる「Chupica」が地上に
「お口すっきり」だけじゃない、オーラルケアがもたらすもの
先日、大切な企画のプレゼンがありました。こころノート編集部のゆうとさんと一緒に取り組んだのですが、直前になってゆうとさんが「緊張して口がカラカラだ……」とポツリ。口が乾くと滑舌が悪くなり、声も小さくなりがちです。ピンチ!
そこで私が手渡したのが、「Chupica(チュピカ)」。ChupicaはJTが開発に関わったオーラルケア製品で、いつでも手軽に口内をリフレッシュさせることができます。口の中がスッキリすると、ちょっとほっとして気持ちを切り替えられます。いざという時にもスムーズに使えるので、私にとって手放せないアイテムです。
おかげで私とゆうとさんは、しっかりとプレゼンでき、無事に企画も採用となりました!
手軽にオーラルケアができるタブレット「Chupica」って?
Chupicaは、歯ブラシや多くの水を必要としないオーラルケア製品です! 小さなタブレット形状の製品を口に含んで10秒ほど噛み砕くとレモンフレーバーの泡がシュワ~っと広がるので、その後3~5秒ほど口内になじませます。あとはそのまま吐き出すか、少量の水ですすげばOK。歯磨きよりも手軽にリフレッシュできるので、私はランチ後によく使っています。
また、Chupicaは天然由来の成分を使っているから気兼ねなく使えて、風味も良いんです。口内での泡立ちもお気に入り!
すっかりChupicaのファンの私。製品を担当した片山潤哉(かたやまじゅんや)さんに、「なぜJTがオーラルケア製品を?」といった疑問や開発の経緯を聞いてみました!
オーラルケアで得られる「心の豊かさ」を届けたい
片山さんは、心豊かな未来を探索・創造する部署、「D-LAB(ディーラボ)」所属。D-LABはたばこ以外の新製品の開発や、他社製品のブランディング支援も行っています。
ゆみ:Chupicaは最近のお気に入りなんです! 手軽にすっきりできるのが心地よくて。でも、なぜJTがそんなオーラルケアの製品に携わったのでしょうか?
片山さん: きっかけは、JAXA(※)が主催していた「THINK SPACE LIFEアクセラレータプログラム」に取り組んだことです。これは、宇宙生活における悩みやニーズを元に、宇宙と地上双方での暮らしを改善するような新事業を考える企画。暮らしの改善というテーマは、JTが社会へ提供しようとしている「心の豊かさ」にもつながると考え、プログラムに挑戦してみることにしました。その過程で宇宙飛行士の方とお話しする機会を持ち、オーラルケアが悩みだったことを知ったんです。宇宙では水が貴重なので地上と同じように歯磨きができない。だから、歯磨き後は飲み込んだり、ティッシュに吐き出したりしていたそうです。
※2024年4月1日より運営をNPO法人ミラツクに移行
ゆみ:うーん、それはあんまりスッキリしなさそう…… 。
片山さん:そうなんです。このお悩みを解決する技術を探索し、開発に至ったのが、国際宇宙ステーションで使われている「mouthpaceⓇ(マウスペース)」です。これは、オーラルケアタブレットの製造技術を持っていた愛知県のベンチャー企業の協力を得て、共同開発したもの。このmouthpaceⓇを、一般に向けて改良した製品がChupicaなんです。
ゆみ:なるほど、そんな経緯があったんですね。そもそもですが、その企業はなぜタブレット形状のオーラルケア製品を開発したのでしょう?
片山さん:社長が、震災時にボランティアをしたことが大元のきっかけです。被災地での歯磨きのできない環境が他の病気を誘発したり、QOL(※)が損なわれたりする様子を目の当たりにしたのだと。そこで、一念発起してオーラルケアのベンチャー企業を立ち上げ、少ない水でケアができるタブレットを開発したと聞いています。
※QOL:Quality of life(クオリティ・オブ・ライフ)の略で、「人生の質」「生活の質」などと訳される。人間が生きる上での主観的な満足度を表す概念。
ゆみ:すごい行動力! 熱い想いをお持ちの方なんですね。
片山さん:「人の生活をより快適にしたい」という強い想いを持っている方なんです。mouthpaceⓇの開発協力のみならず、JT Group Purposeである「心の豊かさを、もっと。」に深く共感した上で、Chupicaの一般販売に向けても力を貸してくださいました。試作の過程では数えきれないほどの対話を重ね、形状や使用感など、あらゆる点にこだわりました。社長からは「妻より片山さんと話している時間の方が長い」と言われたりもしましたね(笑)。
ゆみ:中でも、特にこだわった部分はどんなところだったんですか?
片山さん:泡立ちとフレーバーです。泡立ちについては、噛み砕いたときにシュワ~っと生まれる泡の量が多くなるように、成分の配合を微調整しました。また、フレーバーはレモンの酸味だけでなく、ほのかな苦みまで再現。たくさんの方に試用してもらい、アンケート結果を踏まえてさらに調整、それを再びテストして……と、改善を積み重ねました。この企業の熱意と技術力なくしては、ここまでの泡立ちとフレーバーは実現しなかったと思います。
ゆみ:使い心地や味はもちろんですが、パッケージや名前にもこだわりを感じます。
片山さん:よくぞ気付いてくださいました(笑)。製品コンセプトについては、ブランディング会社さんと一緒に練り上げました。この会社のご担当者もかなり熱量のある方。「とても良いモノなので、妥協なく、良いメッセージで製品を伝えたい」との想いで、コンセプトを一緒に考えてくださいました。
ゆみ:熱い想いを持った方々と取り組んだことでChupicaは生まれたんですね。一般販売までに、苦労されたことはありますか?
片山さん:複数の会社と協業するので、どうしても利害やこだわりのぶつかり合いが発生してしまうことはありましたね。そんな時は、自分が間に立って、製品の原点である「『心の豊かさ』の向上」に立ち戻れるように働きかけました。僕自身もこの製品に惚れ込んでいるので、絶対に世に出していろいろな方に使ってもらいたくて。こうした自分の想いを率直に伝えることで皆さんには納得いただけて、無事に発売まで走り切りました。
ゆみ:片山さんの情熱もビシビシ感じます……! そのモチベーションの源泉はどんなところにあるのでしょう?
片山さん:もともと私は、新規事業のサポートをする仕事がしたかったんです。そう思うようになったきっかけは、父の事業が傾いた時、公認会計士の方が親身に助けてくれたこと。そこで自分も公認会計士の資格を取得し、JT入社後は知識を生かしたサポート業務をしていました。でも、仕事を続けていくうちに、開発支援やスキーム提供で応援したい、ひいては一緒に新しい事業を生み出してみたいという気持ちが生まれてきたんです。そこで、上司にその想いを伝え、現在はChupicaのプロジェクトを担当させてもらっています。複数の企業の方々と密に連携を図りながら多くの交渉に力を注ぐのは、まさに自分が望んでいた姿ですし、とても充実した日々を送っています。
ゆみ:さまざまな会社と粘り強く協業していけたのも、片山さんのそんな原点があってのことなんですね! それでは最後に、今後の展望について教えてください。
片山さん:食事の後や会議の前だけでなく、アウトドアや長距離フライトなど、さまざまなシーンでChupicaを使ってもらいたいですね。これまで16万錠をテストで作りましたが、今後100万錠の販売を目指して、販売網をさらに充実できるよう画策中です。ECサイト・実店舗を問わずに広く販路を確立させていき、手軽なオーラルケアがもたらす「心豊かな時間」をもっとたくさんの方に体感していただきたいです!
Chupicaがもたらす「豊かさ 」って?
宇宙飛行士のオーラルケア改善から生まれる豊かな時間、を起点に始まったChupicaの誕生ストーリー。その裏側には、携わった皆さんの熱意がぶつかり合う、濃密なドラマがあったんですね!
今回、ゆうとさんとプレゼンに臨む時に気付いたことがあります。それは、「歯ブラシは人に貸せないけれど、Chupicaは人にあげることができる」ということ。ランチの後や会議前のひとときに、オーラルケアの心地良さを人と分かち合える――。日常のちょっとした豊かさを人と共に感じられるところが、Chupicaの持つ魅力なんじゃないかと思いました。
Chupicaがもたらす心豊かな暮らし、あなたも体験してみませんか?
担当社員のひとことプロフィール
片山潤哉さん。JT D-LAB。最近、心の豊かさを感じた瞬間は、豊かな自然を体感した時。夏の石垣島を訪れのんびり海を眺めたり、秋の紅葉を見に長野まで足を運んだりと、全国各地の心動かす景色に触れ、雄大な自然を満喫している。